トップインタビュー

資本効率と収益性を 強固にした事業基盤を確立し、 中長期経営戦略「I-PEX Vision 2030」 の達成を目指していきます

1. 第61期(2023年12月期)の業績について

売上高減少や稼働減・在庫圧縮による原価率悪化等に伴い減益

株主の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。

第61期の業績につきましては、非常に厳しい結果となりました。まず、電気・電子部品事業は、2022年の景気後退懸念の高まりの流れが、2023年の上期まで続いたことから、デジタル製品の需要が減少し、結果として減収となりました。ノートパソコン向けコネクタは第1四半期を底に回復基調に転じたものの、IT企業がデータセンター向けの投資を抑制にしたことにより、大容量HDD向けの部品需要が伸び悩みました。

自動車部品事業は、コロナ禍の収束と車載半導体不足の緩和に伴い、自動車メーカーの生産活動が回復したことを受け、エアバックやブレーキなどの安全走行系のセンサが伸長しました。好調な自動車市場を背景に、自動車部品需要が増え、工場稼働率が向上するとともに、兼ねてより取り組んでいる収益性改善活動効果もあり、利益水準を押し上げる結果となりました。

設備事業は、半導体樹脂封止装置は、当社グループが得意とする車載用半導体やパワー半導体向け樹脂封止装置の需要は引き続き高い水準で推移したものの、2022年上期まで過去最高レベルで続いた、汎用半導体を中心に半導体市場に減速傾向がみられ、その流れが2024年まで続いたことから、減収となりました。

以上のようなことから、第61期においては、売上高590億円、営業損失7億円、経常損失5億円、親会社株主に帰属する当期純損失12億円となりました。この結果を受け、配当につきましては、1株当たり20円、中間配当を含む年間配当金を40円とさせていただきました。

2. 第62期(2024年12月期)の重点戦略について

電気・電子部品事業

収益構造の多様化を実現すべく、基盤技術である高周波・高速伝送技術を活用し、エンタープライズ市場への参入、拡販に注力していきます。なかでも年々増加するデータ伝送量に対して、AIサーバーをはじめとするデータセンター向けには、「CABLINE®-CA IIP PLUS」や、「LIGHTPASS®シリーズ」をはじめとした電気・光ソリューションの開発や、展開を推進していきます。HDD用機構部品は、データセンター向け大容量HDD(ニアラインストレージ)の需要が回復すると予想されていることから、大容量化に伴う技術トレンドに適応した難易度の高い関連部品の量産に向けた準備を進めていきます。

自動車部品事業

自動車市場の回復が一段と進むことが予想されるため、車載部品の受注拡大に注力していきます。なかでもエアバック用センサについては、安全走行に関するニーズの高まりを受け、今後、さらに伸長することが期待されます。また、更なる収益性向上を実現するため、選択と集中、生産拠点の最適化を進めると同時に、車の電動化・電子化に即した新たなビジネス獲得に努めていきます。

設備事業

半導体製造装置において、今後、脱炭素化や自動車の電動化・電子化の進展を背景に、パワー半導体や、車載半導体向け封止装置の需要が堅調に推移することが予想されるため、差別化した技術によるカスタマイズ提案を推進し、受注拡大を図っていきます。また、半導体製造装置で培った熱硬化性樹脂封止技術を活用し、電子部品などの半導体以外の製造装置へ向けた展開を図ることで収益基盤の強化に努めていきます。

成長軌道に復帰することが急務

2023年度は、コネクタをはじめ、自動車部品、HDD用機構部品など、主力製品の需要低下が続き、下半期に入ってからは復調の兆しが見えてきたものの総じて厳しい結果となりました。大きな要因としては、ひとえにリスク分散が十分なされていない事業構造にあると考えています。特定の市場に依存しない強固な事業構造に再編し安定的な収益向上を図ること、加えて、新たな収益源として新規事業の立ち上げを進めることが急務です。

2024年度は、CI浸透活動を継続し能動的な企業風土づくりに努めるとともに、基盤事業における収益性改善、最適なものづくり体制の再構築、MEMS事業をはじめとする新たな市場の創造、資本コストを意識した事業経営の推進、ガバナンスの強化など、マテリアリティへの取り組みを通じて、更なる企業価値向上と社会課題解決への貢献に努めていきます。

株主の皆様には今後とも当社グループへのご支援を何卒宜しくお願い申し上げます。