トップインタビュー

創業60周年を機に、更なる成長に向けチャレンジいたします。
  • 掲載している内容は2023年3月30日時点のものです

1. 第60期(2022年12月期)の業績について

景気後退懸念の高まりを背景に需要が減速し計画未達

I-PEXは2023年7月10日に創業60周年の節目を迎えます。株主の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。

第60期の業績につきましては、前期の最高益から一転し、非常に厳しい結果となりました。まず、電気・電子部品事業は、世界的な景気後退懸念の高まりを背景に、情報端末等の需要が減少したことを受けて低迷しました。高性能ノートパソコン向けのコネクタが堅調に推移したものの、パソコンメーカーの生産が落ち込んだ影響などにより、ノートパソコンのパネル接続等に使用されるコネクタが減少しました。HDD関連部品は、データセンター向け大容量HDDに使用される関連部品が堅調に推移しましたが、第4四半期に入り、景気後退懸念からデータセンターへの投資が一時的に縮小したことを受けて伸び悩みました。

自動車部品事業は、足元では緩やかながら自動車市場に回復の兆しが見られたものの、半導体不足やサプライチェーンの混乱に起因する自動車メーカーの生産停滞が続いたことでセンサやコネクタ等の部品需要が減少しました。

設備事業は、半導体需要が拡大する中、半導体樹脂封止装置や金型が年間を通じて好調を維持し、当初の予定を上回るペースで売上高が伸長しました。

グループ全体としては、設備事業が前期比で増収となったものの、電気・電子部品事業、自動車部品事業が減収となったことを受けて、連結売上高は減少しました。利益につきましては、売上高の減少に起因する工場稼働率の低下、減価償却費や労務費等の増加により、前期比で大幅な減益となりました。

以上のようなことから、第60期においては、売上高596億円、営業利益9億円、経常利益21億円、親会社株主に帰属する当期純利益1億円となりました。この結果を受け、配当につきましては、誠に遺憾ではございますが、期末配当は予定より10円減配となる1株当たり20円、中間配当を含む年間配当金を40円とさせていただきました。

2. 第61期(2023年12月期)の重点戦略について

電気・電子部品事業

収益構造の多様化を実現すべく、データセンターや通信基地局をはじめとするエンタープライズ市場への参入、拡販に注力してまいります。今後、データ量の増加に伴い、データセンター機器内で伝送される信号が高速化していくことが予想されるため、民生市場で培った高周波・高速伝送技術を活用し、新たな市場への参入を積極的に推進してまいります。HDD関連部品は、一時的に落ち込んだデータセンター向け大容量HDDの需要が回復すると予想されることから、大容量化に伴う技術トレンドに適応した難易度の高い関連部品の量産に向けた準備を進めてまいります。

自動車部品事業

半導体不足やサプライチェーンの混乱等に伴う自動車メーカーの供給制約が緩やかに解消に向かうことが予想されるため、自動車部品の需要が持ち直すものと思われます。加えて、エアバックや回生ブレーキ、電子制御系部品等の新規立ち上げも売上高の回復に寄与することが期待されます。

今後、自動車の電動化・電子化の進展に歩調を合わせ、より収益性の高い製品の開発や受注に注力することで、自動車部品事業の更なる成長を実現させてまいります。

設備事業

半導体製造装置において、脱炭素化や自動車の電動化・電子化の進展を背景にパワー半導体や車載半導体向け封止装置の需要が堅調に推移することが予想されるため、差別化した技術によるカスタマイズ提案を推進し、受注拡大を図ってまいります。

また、半導体製造装置で培った熱硬化性封止技術を活用し、電子部品等の半導体以外の製造装置への展開を図ることで収益基盤の強化に努めてまいります。

次の成長ステージへ向けて

冒頭申し上げましたとおり、当期(第60期)の業績は非常に厳しい結果に終わりました。一方で、当社が中長期の重点事業に位置付けているMEMSビジネスにおいては、更なる成長へ向けた体制構築のためのM&Aを行うなど、次のステージへ進むための大きな一歩を踏み出した一年でもありました。

第61期につきましては、基盤事業による安定的な収益確保を目指すとともに、持続的な成長のために各事業及びその他の重点事業である(MEMSを活用した)ニオイセンサをはじめとしたMEMSビジネスなど、新たな市場の創造に取り組むことで、ものづくりソリューションエキスパートとして、「デジタルなものづくり」を実践できる技術力を持つ企業を目指し、活動してまいります。

また、2022年に策定した「I-PEX Vision 2030」の達成に向け、グループ全体として資本コストを意識した事業経営に努め、構造改革を推進することで事業ポートフォリオの最適化を実現し、更なる企業価値の向上を実現すべく、様々な施策に取り組んでまいります。

株主の皆様には今後とも当社グループへのご支援を何卒宜しくお願い申し上げます。