2019/09/20
第一精工株式会社(本社:京都府京都市、代表取締役社長:土山 隆治、東証第一部 コード番号:6640、以下 第一精工)は、データセンターなどで用いられる光インターコネクション用途向けに、アイオーコア株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:藤田 友之、以下 アイオーコア)のシリコンフォトニクスIC「光I/Oコア」を使用した、高さ約2mmの超薄型コネクタ一体型アクティブ光モジュール「I-PEX Embedded Optical Blade (I-PEX EOB)」を開発、マルチモードファイバによる300mの長距離伝送に成功しました。
I-PEX EOBの小型・超薄型という特長を生かすことで、プロセッサに近い位置で光電変換を行うことが可能となり、これまでプロセッサから基板端までの電気配線で生じていた伝送損失を大幅に低減することができます。データ処理量の増大に伴って高まる高速伝送のニーズに応えるモジュールとして、活用が期待されます。
背景
光通信は主に装置間伝送や長距離伝送において利用が進んでいます。一般的に機器の内部は電気配線で接続され、機器のインターフェース部で光に変換された後、機器の外部でファイバーケーブルに接続されます。伝送データの増大と高速化が進むなか、機器内におけるプロセッサから基板端までの電気配線による伝送ロスがボトルネックとなりつつあることから、光電変換回路および部品をよりプロセッサに近い場所に配置し、機器の内部から光伝送を行えるソリューションが求められてきています。
一方で、基板上は回路が密集するためスペースに厳しい制約があり、プロセッサの周辺には熱対策のための部材も存在することから、従来、光電変換はプロセッサから一定の距離を空ける必要がありました。
I-PEX EOBについて
当社はこの度、これらの課題を解決するために、アイオーコアの超小型シリコンフォトニクスICである光I/Oコアを採用し、低背化のため光I/Oコアからマルチモードファイバを水平に引き出す接続技術を開発。これらを統合しケーブルプラグに組み込んだコネクタ一体型アクティブ光モジュール「I-PEX Embedded Optical Blade (I-PEX EOB)」を試作し、光I/Oコアを用いた100Gbps(25Gbps x4ch)による300mの長距離伝送を達成しました。
I-PEX EOBは高さ約2mmの超薄型メカニカルロック付きプラグコネクタ形状であり、大型の放熱部材の下に配置することで、プロセッサにより近い場所で光電変換が行えます。本モジュールには光I/Oコアを駆動するためのICも実装しており、使用される機器のシステムを複雑化させることなく、光電変換の回路を組み込むことが可能です。
第一精工では、今後このソリューションの製品化および量産に向けた開発を推進していく予定です。
アイオーコア株式会社および光I/Oコアについて
アイオーコア株式会社は、技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)から研究成果の知的財産権と技術の一部を承継して新設分割された初めての株式会社です。本開発は、PETRAが国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から委託を受けて実施したものです。
同社が量産する光I/Oコアは、シリコン基板上に光素子を形成する「シリコンフォトニクス技術」を用いて作製した5mm角サイズの光トランシーバーチップで、1chあたり25Gbps の伝送速度を持ち、送受4chでトータル100Gbpsの伝送速度による双方向通信が可能です。