2025/10/31
I-PEX株式会社(本社:京都府京都市、代表取締役社長執行役員:小西 玲仁、以下 I-PEX)は、次世代のリチウムイオンバッテリーにおいて、シリコン系活物質の密着性や導電性を改善することでバッテリーの性能向上に貢献する集電体「三次元不織布集電体」を開発中です。
本技術の実物サンプルおよび技術解説資料を、2025年11月18日(火)から20日(木)に愛知県・ウインクあいちで開催される「第66回電池討論会 併設展示会」の I-PEX ブース(6F No.15)で展示します。
 「三次元不織布集電体」(左:銅めっき品、右:アルミめっき品)
        「三次元不織布集電体」(左:銅めっき品、右:アルミめっき品)開発の背景
昨今、次世代リチウムイオンバッテリーの開発においてバッテリーの容量を増加させるために、黒鉛系活物質と比較して10倍以上の理論容量を持つシリコン系活物質の活用が期待されています。しかし、シリコン系活物質は放充電によって約4倍の体積変化が生じることから、一般的に負極集電体として使用される銅箔ではバッテリーの充放電を繰り返した際に活物質が膨張収縮することで集電体から剥離するという課題があり、シリコン系活物質の活用が進んでいないのが実状です。
I-PEXは本課題を解決する手段として、コネクタ事業におけるコネクタ一貫生産で培った表面処理技術やノウハウを活用することで、不織布に負極向けの銅や正極向けのアルミニウムによる表面処理を施した立体的な表面構造や空隙をもつ「三次元不織布集電体」を開発しました。
 「三次元不織布集電体」拡大図
        「三次元不織布集電体」拡大図 不織布繊維へのCNT複合めっき
        不織布繊維へのCNT複合めっき「三次元不織布集電体」の特長
「三次元不織布集電体」は、次世代のリチウムイオンバッテリーにおける、シリコン系活物質の密着性や導電性などの課題を改善し、バッテリーの性能向上に貢献することを想定しています。
- 不織布の複雑かつ柔軟な構造で活物質をホールドすることにより、シリコン系活物質の膨張・収縮によって発生する剥離を抑制
- 不織布のメタライズ加工により、集電体の高比表面積と銅箔に匹敵する導電性を確保
- 導電性を有する不織布が活物質層全体に導電パスを形成し、活物質の利用率を向上
- 基材に樹脂不織布を活用することで集電体を軽量化
 「三次元不織布集電体」断面図
        「三次元不織布集電体」断面図「三次元不織布集電体」のサイクル試験結果
 「三次元不織布集電体」サイクル試験結果
        「三次元不織布集電体」サイクル試験結果本試験では、不織布に銅めっきを施した「三次元不織布集電体」を用いて、65%以上のシリコンを含有させた負極タイプのリチウムイオンバッテリーを試作し、充放電を300サイクル行った際の性能比較を実施しました。リファレンスの銅箔との比較において、「三次元不織布集電体」ではメタライズされた不織布繊維の内部が活物質をホールドすることにより、サイクル性が向上することを確認できました。また、溶剤系バインダーとの相性も良好であることが確認できています。
| Cell | Laminate Cell/Electrode (One side) | 
|---|---|
| Cathode | LiCoO2 type | 
| Anode | Pure Si type (Anode Capacity: ca. 2800 mAh/g) | 
| Separator | Al2O3 Coated PE, 12 μmt | 
| Electrolyte | 1.2M LiPF6 in EC/EMC/DMC/FEC +Additives | 
| Cell Capacity | 25 mAh (2.1 mAh/cm2) | 
| Cycle Condition | [Temp.] 25 ℃ [Charge] 0.5 C_4.2 V CC/CV 0.05 Ccut_Rest: 10 min. [Discharge] 0.5 C_CC 2.5 Vcut_Rest: 10 min. *0.2 C/0.2 C for every 50 cycles | 
「三次元不織布集電体」の仕様
| 基材の種類 | PETまたはPBT※1 | 
|---|---|
| 厚み、目付 | 厚み150-180μm程度、目付35-50g/m2程度※1 | 
| メタライズの種類 | 正極向け:アルミ、負極向け:銅※2 | 
| CNTの付与 | 当社特許技術であるCNT複合銅めっきにより、繊維表面へのCNT付与が可能 | 
- ※1ご要望検討可能
- ※2その他ニッケルやスズ、貴金属などご要望検討可能
カタログのダウンロード
展示会の概要
2025年11月18日(火)から20日(木)にウインクあいちで開催される「第66回電池討論会 併設展示会」にて、「三次元不織布集電体」を展示します。
| 会期 | 2025年11月18日(火)~20日(木) | 
|---|---|
| 会場 | ウインクあいち(名古屋市中村区) 当社ブースNo.「6F No.15」 | 
| 出展内容 | 「三次元不織布集電体」 | 
I-PEXのエネルギーソリューション事業について
I-PEXは電気自動車の使用済みリチウムイオンバッテリーをリユースした蓄電池システムシリーズ「RENERATH(リネラス)」を展開。リユースバッテリーとIoT技術を組み合わせ、持続可能で安心・安全な蓄電池によるエネルギー供給を目指しています。「三次元不織布集電体」はエネルギーソリューションにおける新たな取り組みとして、次世代のリチウムイオンバッテリーに向けた開発を進めています。
I-PEX株式会社について
I-PEXは、グローバル市場で閃きや驚きという価値を提供する「ものづくりソリューションエキスパート」を意味します。1963年、精密金型メーカーの「第一精工」として誕生。以来、数々の世界初や独自の製品、ソリューションを産み出してきました。現在は「コネクタ」「製造受託(自動車部品及びエレクトロニクス機構部品)」「金型・設備」「MEMSファウンドリ」「エネルギーソリューション」の5つの事業分野を展開。「最・尖端を、世界へ」拡げることで、次代を切り拓く世界のあらゆるお客様とともに、デジタル社会の心躍る価値創造に貢献します。
| 商号 | 
                        I-PEX株式会社
                     | 
|---|---|
| 代表者 | 
                        代表取締役 社長執行役員 小西 玲仁
                     | 
| 所在地 | 
                        〒612-8024 京都市伏見区桃山町根来12番地4
                     | 
| 設立 | 
                        1963年7月10日
                     | 
| 資本金 | 
                        109億6千8百万円(2024年12月31日時点)
                     | 
| 事業内容 | 
 | 
| URL | 
 
 
 
 
 
