キャリアプラン(研修)

樹脂流動解析ソフトの導入経験を機に、
特定技術の知識量で社内でも一目置かれる存在に

車載部品事業部 生産設備部
係長 入社14年目

樹脂流動解析ソフトの導入経験を機に、
特定技術の知識量で社内でも一目置かれる存在に

1年目~2年目:設備設計の補佐作業で、社会人としての基礎を身に付ける

最初に配属されたのは、樹脂成形に用いる金型、つまりモールド技術を担当する部署でした。部署の主なミッションは、スマートフォンやパソコンなど身の回りにある電子機器に利用される、コネクタの樹脂部分を量産するための設備設計です。そこで任された仕事は、付随する設備の設計や、コンセプト通りに設計できているかの評価、そして補佐業務でした。
このとき私は、学生時代のように90点取れば合格ではなく、常に100点が求められること。そして、定められた時間の中で、より確実に、先輩や後工程の方が作業しやすい状態に仕上げる気遣いの大切さを学びました。この時にビジネスマンとしての基本的な考え方をしっかり身に付けたことが、後の自分に活きていると思っています。

2年目~4年目:樹脂流動解析ソフトの導入担当者に抜擢、社内の信頼を得る

樹脂流動解析ソフトの新規導入を担当しました。製品の製作中に樹脂がどのように流れ、どのように固まり、どのような不具合が起こり得るかをシミュレーションし、解析するソフトを導入する仕事です。このソフトがあれば、設備製作時の調整費用削減につながることはもちろん、これまで感覚的に身に付けていたモールドの技術がデータで説明できるようになります。
I-PEXでは、熱可塑性樹脂の解析ソフトの導入は初めてでしたし、この役割を任されたのは私ひとりだったために、社内の誰にも頼れずに、ひたすら試用と分析、社外ベンダーとの調整、手順書への落とし込みを繰り返していました。非常に困難が伴う大変な仕事でしたが、無事にソフトを導入した後は、「樹脂流動解析のことは、佐藤に聞け」という社内の信頼を得られました。私のターニングポイントとなった思い出深い仕事です。

4年目~8年目:部門を超えた取り組みを経て、組織のあり方を明確に認識する

製品の不具合を減らすため、より上流工程での業務を強化し、コスト削減や品質改善をはかるフロントローディングに取り組むこととなり、製品開発部がある東京事業所へ長期出張しました。そこでの私の役目は、N.Pro(New Product Team)という新製品の試作設備を製作する部署で、樹脂流動解析を実施して早期に不具合を予測することや、部品の形状の検討時に具体的な提案をすることなどでした。
これまで設備製作の部門にいた私が、新規ビジネス獲得を目指して最前線で奮闘する、営業部門や開発部門の社員と深く関わることで、部門を超えた組織のあり方を明確に認識できました。また、I-PEXは設備屋さんではなく、コネクタメーカーであることを改めて意識するようになりました。こうした見識は、福岡を出て東京事業所での業務経験が無ければ得られなかったことと思います。

8年目~11年目:選出されたプロジェクトで、製造原価の低減を推進

I-PEXの主力製品である、スマートフォンやPCに使う部品の製造原価の低減を図る プロジェクトのメンバーに選出されました。これは、用途や状況に応じた製品の品質を担保しつつ、製造原価を抑えることで、海外製品から市場を守りつつ利益を確保することを目的としたプロジェクトです。私は、製造工程に潜むわずかなムリ・ムダ・ムラを緻密に分析して、原価をできるだけ抑えていくことを目指しました。
I-PEXでは、これまでも製造工程の改善に取り組んできましたので、より一層の原価低減を実現するのは難しい作業でした。しかし、原価を構成する多様な数値を今一度見直し、小さな数字さえも深掘りすることで、1000分の数円といった低減効果を少しずつ積み重ねていきました。この仕事を通じて、目標を達成するために必要な要素は何か、論理的に思考する力が身に付いたと思います。

11年目~13年目:技術指導書の作成にあたり、成形材セクションの作成を担当

人材の早期育成を目指して、I-PEXでは初めて技術指導書を作成することとなり、私はその一部である「(樹脂)成形材」セクションの作成を担当しました。成形材について作成を任されたのは、私が上司からいただいた「解析だけではなく、もうひとつ武器を持て」というアドバイスを機に、ずっと成形材について勉強してきたことが評価されたのだと思っています。
技術指導書を作成するには、業務を包括的に徹底して理解しなければなりません。そのため、そもそも樹脂とは何かという点から、過去に教わった仕事のやり方まで改めて勉強し直し、理論的に説明できるよう知識を集約しました。こうして2018年に完成させた技術指導書は、現在も全ての技術社員の新人教育で使用されています。

13年目~現在:OEMプロジェクト参加を通じて、経営視点を身に付ける

事業部で初めてとなる、自社ブランド製品を他社サプライヤー様に一括製造いただくOEMプロジェクトを担当しました。任されたのはOEMに関するシステム構築と安定量産への軌道に乗せる事です。国内・国外が同時に進行するプロジェクトだったため、海外にも度々足を運びました。
私はこの仕事を通じて他社サプライヤー様と関わらせていただく事で、会社や部門の得意分野をどのように活かして、どのように差別化するかなど、お互いの会社の強みと弱みについて改めて深く考えるようになりました。また、自身の今置かれた立場から1つ、2つ視座を上げて物事を考えて行く必要性を痛感し、今更ではありますが、財務諸表の見方を勉強するなど、自身の不足するスキルに気付き、学習出来た事も、大きな収穫でした。
そして2020年から、車載部品事業部(現:モビリティ部品事業部)へ異動しました。部署のミッションは、生産設備だけでなく、他部門の方々とタッグを組み、全体の効率化や改善の推進です。
私はこれまで、MOLD金型以外の設備について腰を据えて勉強したことがなかったので、新しい知識をこれまで以上に貪欲に吸収し、多角的な視点で物事を捉え、多くの仲間と共に活躍の場を増やして行きたいと考えています。

キャリアの中で得られたスキル

ヒューマンスキル

海外出張の際、現地社員の考え方や習慣の違いに初めて触れました。慣れない習慣に戸惑いを感じることもありましたが、バックグラウンドの異なる社員たちと仕事をする術を学べたことは大きかったです。作業を協働する術に加えて、多面的な物事の考え方など海外人材と仕事をして行く上で必要となる、コミュニケーション能力を習得できました。

ドキュメント作成能力

樹脂流動解析ソフト導入時に、操作手順書の作成や解析結果レポート作成にてドキュメント作成能力が鍛えられました。
この時の経験が、後の製造原価低減プロジェクトやI-PEX初の技術指導書だけでなく、今でも多くの場面で活きています。

プレゼンテーション能力

製作原価低減プロジェクトの参加時に、I-PEXの役員に原価低減のための提案をレビューしてもらう機会を得ました。現場の社員とは視点が異なる役員たちに、自身の提案や報告内容をしっかり伝えるため、緻密なプランニング、合理性を徹底しました。このことでプレゼンテーション能力が鍛えられ、以降の大きな糧となりました。

  • 部署名、年数表記はインタビュー当時のものです。

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