I-PEXとうるたま、開発中の「三次元不織布集電体」搭載電池パックを使用したマイクロドローンによる飛行テストで、従来電池比約2倍・16分以上の航続時間を実現  「第66回電池討論会 併設展示会」に出展

I-PEX株式会社(本社:京都府京都市、代表取締役社長執行役員:小西 玲仁、以下 I-PEX)とうるたま株式会社(本社:神奈川県川崎市、代表取締役:齊藤 絵美子、以下 うるたま)は、I-PEXが開発中の「三次元不織布集電体」を搭載する2種類の電池パックを使用したマイクロドローンによる飛行テストを行い、両方の電池パックにおいて、同重量の既存電池パックを使用した場合と比較して約2倍となる16分以上の航続時間を実現しました。

「三次元不織布集電体」は、次世代のリチウムイオン電池において、シリコン系活物質の密着性や導電性を改善することで電池の性能向上に貢献する集電体です。

本技術の実物サンプルおよび技術解説資料を、2025年11月18日(火)から20日(木)に愛知県・ウインクあいちで開催される「第66回電池討論会 併設展示会」の I-PEX ブース(6F No.15)で展示します。

今回の結果を踏まえ、I-PEXはうるたまと協力して「三次元不織布集電体」を搭載した電池のサイクル特性や安全性および量産性の検証を進め、製品への採用に向けた開発を継続していきます。

「三次元不織布集電体」搭載電池パックにより16分以上航続テストを実施している写真 「三次元不織布集電体」搭載電池パックを使用したマイクロドローンによる16分以上の航続時間を実現

飛行テストの背景

近年、原子力発電所や道路の陥没現場など、危険で人の目による確認が難しい場所を、マイクロドローンを使って目視・確認するニーズが高まっています。

こうした用途で使用されるマイクロドローンは、電池の重量に制限があるため蓄電容量が少ないという課題があります。現状、現場への往復の時間を含め1度に長くても8分程度しか飛行できないため、実際の点検は数分しか行えないという制約が存在しています。

I-PEXの「三次元不織布集電体」は、黒鉛系活物質と比較して10倍以上の理論容量を持つシリコン系活物質の活用など、次世代リチウムイオン電池の性能を向上する集電体として開発※1しています。今回、「三次元不織布集電体」を搭載した電池パックの性能向上を実証する目的で、マイクロドローンによる飛行テストを実施しました。

飛行テストの概要

飛行テストを行ったエリア 飛行テストエリア

I-PEXの「三次元不織布集電体」を用いた電池パック2種類をうるたまが製作し、マイクロドローンに搭載、比較用の市販電池パックと重量を極力揃えた上でホバリングを行う飛行テストを、うるたまのラボ(横浜市鶴見区、リーディングベンチャープラザ)にて実施しました。

テストの結果、市販電池パックでは8分51秒であったところ、シリコン負極電池パックでは16分20秒、リチウム負極電池パックでは17分42秒のホバリングを達成。比較用の市販電池パックと比較して、約2倍以上の航続時間を実現しました。

搭載した電池パックの詳細とテスト結果

電池パック シリコン負極電池パック※2 リチウム負極電池パック※3 (比較用)市販電池パック
セル数 3 3 3
容量 1800mAh 1930mAh 1000mAh
電圧 11.1V 12.0V 11.1V
重量 72.6g 73.7g 72.7g
飛行時間 16分20秒 17分42秒 8分51秒
  • ※2
    銅めっきを施した「三次元不織布集電体」を使用し、不織布の空隙に活物質(Si/黒鉛≒83%/17%、SiはマイクロSiを使用)を塗工し内包
  • ※3
    銅めっきを施した「三次元不織布集電体」にLiを内包させた、世界最軽量の三次元リチウム金属負極を製作
マイクロドローンに搭載した3種類の電池パック、シリコン負極電池パック、リチウム負極電池パック、比較用の市販電池パック マイクロドローンに搭載した電池パック(左:シリコン負極電池パック、中央:リチウム負極電池パック、右:比較用の市販電池パック)
飛行テストで使用したマイクロドローン 飛行テストで使用したマイクロドローン

「三次元不織布集電体」の特長

銅メタライズの「三次元不織布集電体」とアルミメタライズの「三次元不織布集電体」) 「三次元不織布集電体」(左:銅メタライズ品、右:アルミメタライズ品)

「三次元不織布集電体」は、次世代のリチウムイオン電池における、シリコン系活物質の密着性や導電性などの課題を改善し、電池の性能向上に貢献することを想定しています。

  • 不織布の複雑かつ柔軟な構造で活物質をホールドすることにより、シリコン系活物質の膨張・収縮によって発生する剥離を抑制
  • 不織布のメタライズ加工により、集電体の高比表面積と銅箔に匹敵する導電性を確保
  • 導電性を有する不織布が活物質層全体に導電パスを形成し、活物質の利用率を向上
  • 基材に樹脂不織布を活用することで集電体を軽量化

展示会の概要

2025年11月18日(火)から20日(木)にウインクあいちで開催される「第66回電池討論会 併設展示会」にて、「三次元不織布集電体」を展示します。

会期 2025年11月18日(火)~20日(木)
会場 ウインクあいち(名古屋市中村区)
出展内容 「三次元不織布集電体」

うるたま株式会社について

うるたま株式会社は、二次電池開発/製造過程で技術障壁となる様々な課題を解決する“独自の要素技術”を発掘し、次世代電池の市場化につながる研究開発を行っています。また、その研究過程で得られた経験を基に、既に多くの関連会社と電池技術に関する共同研究/委託研究を進めています。

    商号 うるたま株式会社
    代表者 代表取締役 齊藤 絵美子
    所在地 神奈川県川崎市川崎区駅前本町11-2 川崎フロンティアビル4階
    事業内容 次世代電池開発及び受託評価事業

    I-PEXのエネルギーソリューション事業について

    I-PEXは電気自動車の使用済みリチウムイオン電池パックをリユースした蓄電池システムシリーズ「RENERATH(リネラス)」を展開。リユース電池パックとIoT技術を組み合わせ、持続可能で安心・安全な蓄電池によるエネルギー供給を目指しています。「三次元不織布集電体」はエネルギーソリューションにおける新たな取り組みとして、次世代のリチウムイオン電池パックに向けた開発を進めています。

    I-PEX株式会社について

    I-PEXは、グローバル市場で閃きや驚きという価値を提供する「ものづくりソリューションエキスパート」を意味します。1963年、精密金型メーカーの「第一精工」として誕生。以来、数々の世界初や独自の製品、ソリューションを産み出してきました。

    現在は「コネクタ」「製造受託(自動車部品及びエレクトロニクス機構部品)」「金型・設備」「MEMSファウンドリ」「エネルギーソリューション」の5つの事業分野を展開。「最・尖端を、世界へ」拡げることで、次代を切り拓く世界のあらゆるお客様とともに、デジタル社会の心躍る価値創造に貢献します。

    商号 I-PEX株式会社
    代表者 代表取締役社長執行役員 小西 玲仁
    所在地 〒612-8024 京都市伏見区桃山町根来12番地4
    設立 1963年7月10日
    資本金 99億6千8百万円(2025年11月10日時点)
    事業内容
    • コネクタ事業
    • 製造受託事業(自動車部品及びエレクトロニクス機構部品)
    • 金型・設備事業
    • MEMSファウンドリ事業
    • エネルギーソリューション事業
    URL https://corp.i-pex.com/ja

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